育児休暇給付金の計算方法は?支給額や手続きを幅広く調査!

育児休業を取得する際に最も気になるのが、育児休業給付金の支給額ではないでしょうか。育児休業期間中は会社からの給与が支給されないため、給付金がいくらもらえるのかを事前に把握しておくことは、家計の計画を立てる上で非常に重要です。育児休業給付金は雇用保険から支給される制度で、休業前の賃金をもとに一定の計算式によって支給額が決定されます。

しかし、実際の計算方法は複雑で、賃金日額や給付率、支給期間によって金額が変動するため、正確な支給額を把握するのは簡単ではありません。また、育児休業期間中に会社から給与の一部が支払われる場合や、賞与の扱い、上限額や下限額など、計算に影響を与える要素も多岐にわたります。

本記事では、育児休業給付金の計算方法について、基本的な仕組みから具体的な計算式、支給額に影響する様々な要素まで、詳しく解説していきます。これから育児休業を取得する予定の方、すでに取得中の方、また人事担当者の方にとっても参考になる情報を幅広く網羅していますので、ぜひ最後までご覧ください。

育児休暇給付金の計算方法の基本

育児休業給付金を正確に計算するためには、まず制度の基本的な仕組みを理解することが重要です。ここでは、育児休業給付金とは何か、計算に必要な賃金日額の求め方、給付率の違い、そして具体的な計算式について詳しく説明します。

育児休業給付金とは

育児休業給付金は、雇用保険に加入している労働者が育児休業を取得した際に、雇用保険から支給される給付金です。この制度は、育児休業期間中の経済的な負担を軽減し、安心して育児に専念できる環境を整えることを目的としています。

育児休業給付金を受給するためには、いくつかの条件を満たす必要があります。まず、育児休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月(または就業した時間数が80時間以上ある月)が12か月以上あることが求められます。また、育児休業期間中の各1か月ごとに、就業している日数が10日以下(または就業している時間が80時間以下)であることも条件となります。

対象となる子どもは、原則として1歳未満の子どもですが、保育所に入所できないなどの事情がある場合には、最長で子どもが2歳に達する日の前日まで延長することができます。また、パパ・ママ育休プラス制度を利用すれば、両親がともに育児休業を取得する場合、子どもが1歳2か月に達する日の前日まで給付を受けることが可能です。

育児休業給付金は非課税であり、育児休業期間中は社会保険料(健康保険料と厚生年金保険料)が免除されるため、実質的な手取り額は休業前の給与の約8割程度になると言われています。これは、育児休業を取得しやすくするための重要な制度設計となっています。

計算に必要な「賃金日額」の求め方

育児休業給付金の計算において最も重要な要素が「賃金日額」です。賃金日額は、育児休業開始前の賃金をもとに算出される金額で、これに給付率を掛けることで支給額が決定されます。

賃金日額の計算方法は、育児休業開始前6か月間に支払われた賃金の総額を180日で割ることで求められます。ここでいう賃金には、基本給のほか、残業手当、通勤手当、住宅手当などの各種手当が含まれます。ただし、賞与(ボーナス)は賃金日額の計算には含まれません。

具体的な計算例を見てみましょう。育児休業開始前6か月間の賃金が以下の通りだったとします。

1か月目:280,000円 2か月目:290,000円 3か月目:285,000円 4か月目:300,000円 5か月目:295,000円 6か月目:290,000円

この場合、6か月間の賃金総額は1,740,000円となります。これを180日で割ると、1,740,000円÷180日=9,666.66円となり、賃金日額は9,666円(1円未満切り捨て)となります。

なお、育児休業開始前6か月間に賃金支払基礎日数が11日未満の月がある場合、その月は計算対象から除外されます。たとえば、6か月のうち1か月が11日未満だった場合は、残りの5か月間の賃金を150日で割って賃金日額を算出します。

また、月給制の場合は暦日数に関係なく賃金支払基礎日数は1か月とカウントされますが、日給制や時給制の場合は実際に就業した日数がカウントされます。この点も正確な計算を行う上で注意が必要です。

給付率67%と50%の違い

育児休業給付金の給付率は、育児休業期間によって異なります。育児休業開始から180日目(約6か月)までは賃金日額の67%、181日目以降は50%が支給されます。この給付率の違いは、育児休業給付金の計算において非常に重要なポイントです。

67%の給付率が適用される期間は、育児が最も大変で経済的な負担も大きい時期を考慮した制度設計となっています。生まれたばかりの赤ちゃんの世話には多くの時間と労力が必要であり、また出産直後の母親の体力回復にも時間がかかることから、この期間により手厚い給付が行われるのです。

具体的な計算例を見てみましょう。先ほどの例で賃金日額が9,666円だった場合、育児休業開始から180日目までの1か月(30日)の支給額は以下のようになります。

9,666円×67%×30日=194,247円

一方、181日目以降の1か月(30日)の支給額は以下の通りです。

9,666円×50%×30日=144,990円

このように、同じ賃金日額でも給付率の違いによって月額で約5万円の差が生じます。育児休業を1年間取得する場合、前半6か月と後半6か月で受け取れる給付金の総額が大きく異なることを理解しておく必要があります。

なお、給付率が67%から50%に変わるタイミングは、育児休業開始日から数えて180日目となります。たとえば、4月1日から育児休業を開始した場合、180日目は9月28日となり、9月29日以降は給付率が50%となります。

また、パパ・ママ育休プラス制度を利用する場合でも、給付率の計算は各自の育児休業開始日から起算されます。つまり、父親と母親それぞれについて、育児休業開始から180日間は67%、それ以降は50%の給付率が適用されることになります。

具体的な計算式と計算例

育児休業給付金の計算式は、基本的には「賃金日額×給付率×支給日数」となります。ただし、実際の計算では支給単位期間ごとに計算を行う必要があります。

支給単位期間とは、育児休業を開始した日から起算して1か月ごとの期間のことです。たとえば、4月15日から育児休業を開始した場合、第1支給単位期間は4月15日から5月14日まで、第2支給単位期間は5月15日から6月14日まで、というように区切られます。

それでは、具体的な計算例を見ていきましょう。以下の条件で育児休業給付金を計算します。

・育児休業開始日:2024年4月15日 ・賃金日額:9,666円 ・育児休業期間:1年間(2025年4月14日まで)

まず、第1支給単位期間(4月15日~5月14日)は30日間あり、給付率は67%なので、

9,666円×67%×30日=194,247円

第2支給単位期間(5月15日~6月14日)も31日間あり、給付率は67%なので、

9,666円×67%×31日=200,455円

このように、育児休業開始から180日目までは給付率67%で計算します。180日目は10月11日となるため、第7支給単位期間(10月15日~11月14日)の途中で給付率が変わることになります。

具体的には、10月15日から10月11日までの部分(実際には10月11日が180日目なので10月15日~11月14日の期間のうち初日から5日目まで)は67%、それ以降は50%となります。ただし、実務上は支給単位期間全体で見て、180日目が含まれる期間まで67%が適用されることが一般的です。

第7支給単位期間以降は給付率50%となるため、

9,666円×50%×30日=144,990円

となります。

1年間の育児休業給付金の総額を計算すると、67%の期間(6か月分)が約116万円、50%の期間(6か月分)が約87万円となり、合計で約203万円となります。ただし、この金額はあくまで概算であり、実際の支給額は各支給単位期間の日数や育児休業期間中の就業状況によって変動します。

また、育児休業期間中に会社から給与が支払われた場合や、就業した日がある場合には、支給額が減額されたり支給されなかったりすることもあります。この点については次のセクションで詳しく説明します。

育児休暇給付金の計算に影響する要素

育児休業給付金の計算は、賃金日額と給付率だけで決まるわけではありません。休業前の給与額、休業期間中の給与支給の有無、賞与の扱い、上限額と下限額など、様々な要素が支給額に影響を与えます。ここでは、これらの要素について詳しく解説します。

休業開始前の給与と支給額の関係

育児休業給付金は、休業開始前6か月間の賃金をもとに計算されるため、休業前の給与額が高ければ高いほど、受け取れる給付金も多くなります。ただし、後述する上限額が設定されているため、一定以上の高額所得者の場合は給付金が頭打ちになります。

休業前の給与と給付金の関係を理解する上で重要なのは、どの期間の給与が計算対象となるかという点です。育児休業給付金の計算に用いられるのは、育児休業開始日の前日からさかのぼって6か月間に支払われた賃金です。

たとえば、2024年4月15日から育児休業を開始する場合、計算対象となるのは2023年10月15日から2024年4月14日までに支払われた賃金となります。ただし、賃金の支払日ではなく、賃金計算期間で判断される点に注意が必要です。

月末締め翌月25日払いの会社であれば、4月15日に育児休業を開始する場合、3月分(3月1日~3月31日)の賃金が4月25日に支払われますが、この3月分の賃金は計算対象に含まれます。一方、4月分(4月1日~4月30日)の賃金は、育児休業期間中に該当するため、原則として計算対象外となります。

また、休業前6か月間の賃金には、基本給だけでなく残業手当、通勤手当、住宅手当、家族手当、役職手当など、労働の対価として支払われるすべての手当が含まれます。したがって、残業が多かった時期に育児休業を開始すると、その残業手当分も賃金日額の計算に含まれ、給付金が多くなります。

逆に、育児休業を取得する前に時短勤務に切り替えたり、残業を減らしたりすると、その分賃金日額が低くなり、給付金も減少します。そのため、育児休業給付金を最大限活用したい場合は、休業開始前6か月間の働き方にも注意を払う必要があります。

ただし、この期間中に産前産後休業を取得していた場合や、病気療養などで欠勤が多かった場合は、賃金支払基礎日数が11日未満の月が発生する可能性があります。その場合、その月は計算対象から除外され、さらにさかのぼった月の賃金が計算に用いられることになります。

育児休業期間中の給与支給がある場合

育児休業期間中に会社から給与が支払われる場合、育児休業給付金の支給額に影響が出ます。この仕組みを理解しておくことは、給付金の計算を正確に行う上で非常に重要です。

育児休業給付金は、育児休業期間中の賃金を補填する制度であるため、会社から給与が支払われている場合は、その給与額に応じて給付金が調整されます。具体的には、以下のようなルールが適用されます。

まず、育児休業期間中に支払われた賃金が、休業開始時賃金日額×支給日数の13%以下の場合は、給付金は全額支給されます。たとえば、賃金日額が9,666円で支給単位期間が30日の場合、9,666円×30日×13%=37,697円以下の賃金であれば、給付金は減額されません。

次に、賃金が13%を超え80%未満の場合は、「休業開始時賃金日額×支給日数×67%(または50%)」から「実際に支払われた賃金額」を差し引いた金額が支給されます。この場合、賃金と給付金の合計が休業開始時賃金日額×支給日数×80%を上回らないように調整されます。

たとえば、67%の給付率が適用される期間で、賃金日額が9,666円、支給単位期間が30日、実際に支払われた賃金が10万円だった場合を考えてみましょう。

通常の給付金額:9,666円×67%×30日=194,247円 賃金+給付金の合計:100,000円+194,247円=294,247円 上限額(80%):9,666円×30日×80%=231,984円

この場合、合計が上限を超えるため、給付金は231,984円-100,000円=131,984円に減額されます。

さらに、育児休業期間中に支払われた賃金が、休業開始時賃金日額×支給日数の80%以上の場合は、給付金は全く支給されません。つまり、会社から休業前の8割以上の給与が支払われている場合は、育児休業給付金を受け取ることはできないということです。

また、育児休業期間中に会社から支払われる賃金には、有給休暇を使用した場合の給与も含まれます。育児休業中に有給休暇を取得すると、その日数分の給与が支払われるため、給付金が減額される可能性があることに注意が必要です。

なお、育児休業期間中に一時的に職場復帰して働いた場合も、その期間に支払われた賃金は上記のルールに従って給付金の計算に影響します。ただし、1か月の就業日数が10日以下(または就業時間が80時間以下)であれば、給付金の支給対象となります。

賞与やボーナスの扱い

育児休業給付金の計算において、賞与(ボーナス)の扱いは多くの人が疑問に思うポイントです。結論から言うと、賞与は賃金日額の計算には含まれません。

賃金日額の計算対象となるのは、毎月支払われる定期的な賃金のみです。賞与は臨時に支払われる賃金として扱われ、雇用保険法上、賃金日額の計算から除外されることになっています。したがって、休業前6か月間に賞与が支払われていたとしても、その金額は賃金日額の計算には反映されません。

たとえば、休業前6か月間の月給が毎月30万円で、この期間中に夏のボーナス50万円が支払われたとします。この場合、賃金日額の計算に用いられるのは月給の合計180万円(30万円×6か月)のみで、ボーナスの50万円は含まれません。したがって、賃金日額は180万円÷180日=10,000円となります。

この仕組みは、賞与の有無や金額によって育児休業給付金の額が大きく変動することを防ぐためのものです。賞与の支給額や支給時期は会社によって大きく異なるため、これを計算に含めると、同じような働き方をしている人でも給付金に大きな差が生じてしまいます。

ただし、育児休業期間中に賞与が支払われた場合の扱いには注意が必要です。育児休業期間中に支払われる賞与は、前述の「育児休業期間中の給与支給」と同様に扱われ、給付金の減額対象となります。

たとえば、育児休業期間中に夏のボーナスとして30万円が支払われた場合、その支給単位期間の給付金は減額されるか、全く支給されなくなる可能性があります。具体的には、賞与30万円が休業開始時賃金日額×支給日数の80%以上に相当する場合、その支給単位期間の給付金はゼロとなります。

また、育児休業を取得する時期によって、賞与が受け取れるかどうかが変わる場合もあります。多くの会社では、賞与の支給要件として「賞与算定期間中に一定期間以上勤務していること」という条件を設けています。育児休業期間が賞与算定期間に含まれる場合、賞与が減額されたり支給されなかったりすることがあります。

このように、賞与は育児休業給付金の計算には直接影響しませんが、育児休業期間中の賞与支給は給付金に影響を与えることがあるため、自社の賞与規定を確認しておくことが重要です。

上限額と下限額について

育児休業給付金には、支給額の上限額と下限額が設定されています。これは、賃金日額が非常に高い人や低い人に対して、給付金が極端な額にならないようにするための措置です。

上限額は、毎年8月1日に改定されます。2024年8月1日以降の上限額は、賃金日額で15,430円となっています。これに基づいて計算すると、育児休業開始から180日目までの給付金の上限は以下のようになります。

15,430円×67%×30日=310,143円

181日目以降の給付金の上限は以下の通りです。

15,430円×50%×30日=231,450円

つまり、どんなに高い給与をもらっていた人でも、育児休業給付金として受け取れる金額は月額で約31万円(67%の期間)または約23万円(50%の期間)が最大となります。年収が1,000万円を超えるような高所得者の場合、休業前の給与と比べると給付金の割合はかなり低くなります。

一方、下限額は賃金日額で2,746円と定められています(2024年8月1日以降)。これに基づいて計算すると、給付金の下限は以下のようになります。

育児休業開始から180日目まで: 2,746円×67%×30日=55,194円

181日目以降: 2,746円×50%×30日=41,190円

下限額が設定されているため、パートタイムで働いていた人や賃金が低かった人でも、最低限の給付金は保証されています。ただし、実際には賃金日額が2,746円を下回る人はほとんどいないため、下限額が適用されるケースは稀です。

なお、上限額と下限額は毎月勤労統計の平均定期給与額の増減によって毎年改定されます。そのため、育児休業を開始する時期によって、適用される上限額や下限額が異なる場合があります。最新の上限額・下限額については、ハローワークのウェブサイトや厚生労働省の公表資料で確認することができます。

また、上限額や下限額は賃金日額に対して設定されているため、実際の給付金額は支給単位期間の日数によって変動します。たとえば、31日ある月と30日ある月では、同じ賃金日額でも給付金の総額が異なることになります。

上限額が設定されていることで、高所得者ほど休業前の収入と給付金の差が大きくなります。そのため、高所得世帯では育児休業期間中の家計のやりくりをより慎重に計画する必要があります。一方、下限額の設定により、低所得者でも最低限の生活保障が確保される仕組みとなっています。

育児休暇給付金の計算に関するよくある質問

育児休業給付金の計算について、多くの人が疑問に思うポイントや注意すべき点があります。ここでは、実際によく寄せられる質問に答えながら、計算に関する重要な情報をまとめていきます。

育児休暇給付金の計算方法についてのまとめ

今回は育児休業給付金の計算方法についてお伝えしました。以下に、今回の内容を要約します。

・育児休業給付金は雇用保険から支給される制度で、休業前の賃金をもとに計算される

・受給条件として休業開始前2年間に賃金支払基礎日数11日以上の月が12か月以上必要である

・給付金は非課税であり育児休業期間中は社会保険料も免除されるため手取りは給与の約8割相当となる

・賃金日額は育児休業開始前6か月間の賃金総額を180日で割って算出する

・賃金には基本給のほか各種手当も含まれるが賞与は含まれない

・給付率は育児休業開始から180日目までが67%、181日目以降が50%である

・計算式は「賃金日額×給付率×支給日数」で支給単位期間ごとに計算する

・休業前の残業手当など賃金が高いほど給付金も多くなるが上限額が設定されている

・育児休業期間中に会社から給与が支払われると給付金が減額される場合がある

・賃金が休業開始時賃金の13%以下なら給付金は全額支給される

・賃金が80%以上の場合は給付金は支給されない

・賞与は賃金日額の計算には含まれないが休業期間中に支払われると給付金に影響する

・上限額は賃金日額15,430円で月額給付金は最大約31万円または約23万円となる

・下限額は賃金日額2,746円で月額給付金は最低約5.5万円または約4.1万円が保証される

・上限額と下限額は毎年8月1日に改定されるため時期により金額が変わる

育児休業給付金の計算方法を正しく理解することで、育児休業期間中の家計管理をより適切に行うことができます。給付金の支給額は個人の状況によって大きく異なるため、自分のケースに当てはめて事前にシミュレーションしておくことをお勧めします。不明な点がある場合は、勤務先の人事担当者やハローワークに相談することで、より正確な情報を得ることができるでしょう。

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