子ども子育て拠出金70歳以上とは?負担義務や計算方法を幅広く調査!

子ども子育て拠出金は、日本の社会保障制度の一環として事業主が負担する拠出金ですが、70歳以上の従業員を雇用している場合の取り扱いについて疑問を持つ方は少なくありません。特に高齢化社会が進む中で、70歳以降も働き続ける方が増えており、子ども子育て拠出金70歳以上の労働者に対する適用がどうなるのかは、企業の人事担当者や経営者にとって重要な関心事項となっています。

実は、子ども子育て拠出金の仕組みは年齢によって異なる取り扱いがあり、70歳以上の従業員についても一定のルールが存在します。しかし、厚生年金保険や健康保険などの他の社会保険制度とは異なる部分もあるため、正確な理解が求められます。

本記事では、子ども子育て拠出金の基本的な仕組みから、70歳以上の労働者に対する適用の有無、具体的な計算方法、事業主が注意すべきポイントまで、実務に役立つ情報を網羅的に解説します。これから高齢従業員を雇用する予定のある企業や、すでに70歳以上の方を雇用している事業所にとって、実践的なガイドとなる内容をお届けします。

子ども子育て拠出金70歳以上に関する基本知識

子ども子育て拠出金の制度概要と目的

子ども子育て拠出金は、児童手当や子育て支援事業の財源を確保するために、事業主が負担する社会保険料の一種です。この制度は、子ども・子育て支援法に基づいて運営されており、次世代育成支援のための重要な財源となっています。

拠出金の使途は、児童手当の支給、保育所や認定こども園などの施設整備、地域子育て支援拠点事業、放課後児童クラブの運営支援など、多岐にわたります。これらの事業を通じて、子どもを産み育てやすい社会環境の整備が進められています。

子ども子育て拠出金は事業主のみが負担する保険料であり、従業員本人からは徴収されません。この点が健康保険料や厚生年金保険料と大きく異なる特徴です。事業主は、厚生年金保険の被保険者である従業員の標準報酬月額および標準賞与額に拠出金率を乗じた額を納付する義務があります。

拠出金率は年度ごとに見直されることがあり、近年は少子化対策の強化に伴い、段階的に引き上げられてきました。令和5年度の拠出金率は0.36%、令和6年度は0.40%と設定されており、今後も政策の変更に応じて調整される可能性があります。

制度の目的は、単なる財源確保だけでなく、事業主が次世代育成支援に関心を持ち、従業員が仕事と子育てを両立しやすい職場環境を整備するきっかけとすることにもあります。このため、拠出金の納付は社会的責任の一環として位置づけられています。

70歳以上の労働者に対する適用の有無

子ども子育て拠出金の70歳以上の労働者に対する適用については、厚生年金保険の被保険者資格との関連を理解することが重要です。結論から述べると、70歳以上の従業員であっても、一定の条件下では子ども子育て拠出金の対象となります。

厚生年金保険は原則として70歳未満の労働者が被保険者となりますが、70歳以上の方でも一定の要件を満たす場合は「高齢任意加入被保険者」として厚生年金保険に加入することができます。この高齢任意加入被保険者については、子ども子育て拠出金の納付義務が発生します。

一方、70歳以上で厚生年金保険の被保険者資格を持たない労働者については、子ども子育て拠出金の対象外となります。これは、子ども子育て拠出金が厚生年金保険の被保険者を基準として算定される仕組みであるためです。

ただし、健康保険については70歳以降も75歳になるまで被保険者資格が継続する場合があります。この点で混同しやすいのですが、子ども子育て拠出金はあくまで厚生年金保険の被保険者資格に連動しており、健康保険の被保険者資格とは直接の関係がありません。

実務上は、70歳に達した従業員について、厚生年金保険の資格喪失手続きを行う際に、同時に子ども子育て拠出金の算定対象からも除外する処理を行うことになります。この手続きは、日本年金機構への届出を通じて行われます。

厚生年金保険との関係性

子ども子育て拠出金と厚生年金保険は密接に関連しており、その関係性を正確に理解することが制度運用の鍵となります。子ども子育て拠出金は、厚生年金保険の被保険者を対象として算定されるため、厚生年金保険の適用範囲が子ども子育て拠出金の適用範囲を決定します。

厚生年金保険の被保険者は、原則として70歳未満の常用労働者です。この「常用労働者」には、正社員だけでなく、一定の要件を満たすパートタイマーやアルバイトも含まれます。具体的には、週の所定労働時間および月の所定労働日数が常時雇用者の4分の3以上である場合、または特定の要件を満たす短時間労働者は被保険者となります。

70歳に達すると、厚生年金保険の被保険者資格は自動的に喪失します。これは、老齢厚生年金の受給開始年齢との関連で設定されている制度設計です。ただし、70歳以降も厚生年金保険の受給資格期間を満たしていない場合や、年金額を増やしたい場合には、高齢任意加入制度を利用することができます。

高齢任意加入被保険者となった場合、厚生年金保険料の納付義務が発生するとともに、子ども子育て拠出金の算定対象にもなります。この場合の拠出金は、通常の被保険者と同様に標準報酬月額および標準賞与額を基準として計算されます。

また、厚生年金保険の適用事業所であれば、子ども子育て拠出金の納付義務も自動的に発生します。事業所単位での適用となるため、一部の従業員のみを対象とすることはできません。事業主は、厚生年金保険の被保険者全員分の子ども子育て拠出金を納付する必要があります。

健康保険との違いと注意点

子ども子育て拠出金と健康保険の関係については、多くの混同が見られるため、明確に区別して理解することが重要です。両者は社会保険制度の一部ではありますが、適用年齢や算定基準において異なる特徴があります。

健康保険の被保険者資格は、75歳に達するまで継続することができます。70歳に達しても健康保険の被保険者資格は喪失せず、引き続き健康保険料の納付義務が発生します。一方、子ども子育て拠出金は厚生年金保険の被保険者資格に連動するため、原則として70歳で算定対象から外れます。

この違いにより、70歳以上75歳未満の従業員については、健康保険料は発生するが子ども子育て拠出金は発生しない、という状態が一般的となります。ただし、前述のとおり高齢任意加入被保険者となっている場合は例外的に子ども子育て拠出金の対象となります。

給与計算システムや社会保険料の管理においては、この違いを正確に反映させる必要があります。70歳到達月の処理では、厚生年金保険と子ども子育て拠出金の資格喪失処理を行う一方で、健康保険については継続するという複雑な処理が求められます。

また、介護保険についても留意が必要です。介護保険料は40歳以上65歳未満の健康保険加入者が負担するため、70歳以上の従業員については介護保険料も発生しません。結果として、70歳以上75歳未満の従業員については、健康保険料のみが社会保険料として発生することになります。

実務上の注意点として、従業員への給与明細や保険料控除証明書の発行時には、どの保険料が控除されているかを明確に記載することが重要です。特に70歳前後の従業員については、保険料の変動について事前に説明を行い、理解を得ておくことがトラブル防止につながります。

子ども子育て拠出金70歳以上の計算方法と実務対応

標準報酬月額に基づく計算方法

子ども子育て拠出金の計算は、標準報酬月額を基準として行われます。標準報酬月額とは、従業員の月々の給与を一定の幅で区分した等級に当てはめた金額のことで、厚生年金保険の保険料計算にも使用される重要な指標です。

標準報酬月額は、入社時や昇給時、定時決定(算定基礎届)などのタイミングで決定または改定されます。定時決定では、毎年4月から6月の3か月間に支払われた給与の平均額をもとに、その年の9月から翌年8月までの標準報酬月額が決定されます。

子ども子育て拠出金の計算式は、「標準報酬月額×子ども子育て拠出金率」となります。例えば、標準報酬月額が30万円で、拠出金率が0.40%の場合、月額の子ども子育て拠出金は「300,000円×0.0040=1,200円」となります。

この計算において重要なのは、拠出金は事業主が全額負担するという点です。従業員の給与から控除することはなく、事業主が自己の負担として納付します。したがって、従業員の手取り額には直接影響しませんが、事業主にとっては人件費の一部として認識する必要があります。

70歳未満の従業員であれば、この計算方法が適用されます。しかし、70歳に達した従業員については、厚生年金保険の被保険者資格を喪失するため、原則として子ども子育て拠出金の算定対象から除外されます。ただし、高齢任意加入被保険者として厚生年金保険に加入している場合は、引き続き同じ計算方法で拠出金が算定されます。

計算の際には、標準報酬月額の等級表を正確に参照することが重要です。厚生年金保険の標準報酬月額は1等級から32等級まで設定されており、報酬月額の範囲に応じて該当する等級が決まります。等級の判定を誤ると、拠出金の計算も誤ることになるため、注意が必要です。

標準賞与額に基づく計算方法

子ども子育て拠出金は、月々の給与だけでなく賞与に対しても算定されます。賞与に対する拠出金の計算には、標準賞与額という概念が使用されます。

標準賞与額は、賞与として支払われた金額から1,000円未満の端数を切り捨てた額です。ただし、厚生年金保険では標準賞与額に上限が設定されており、1か月あたり150万円が上限となります。同一月に複数回賞与が支払われた場合は、それらを合算した額が標準賞与額となります。

賞与に対する子ども子育て拠出金の計算式は、「標準賞与額×子ども子育て拠出金率」です。例えば、夏季賞与として60万円が支払われ、拠出金率が0.40%の場合、賞与に対する拠出金は「600,000円×0.0040=2,400円」となります。

賞与の定義については注意が必要です。ここでいう賞与とは、年3回以下の支給回数のものを指します。年4回以上支給される給与は、賞与ではなく通常の報酬として扱われ、標準報酬月額の算定基礎に含まれます。

70歳以上の従業員に賞与を支払う場合も、基本的な考え方は月給と同様です。厚生年金保険の被保険者でなければ、子ども子育て拠出金の対象とはなりません。しかし、高齢任意加入被保険者として厚生年金保険に加入している場合は、賞与に対しても拠出金が算定されます。

実務上は、賞与支払届を日本年金機構に提出する際に、子ども子育て拠出金の額も同時に計算されます。賞与支払届には、各従業員の標準賞与額を記載する欄があり、この情報をもとに拠出金が算定されるため、正確な記入が求められます。

拠出金率の変遷と今後の見通し

子ども子育て拠出金率は、制度創設以来、段階的に引き上げられてきました。この変遷を理解することは、将来的な事業主負担の予測や経営計画の策定において重要です。

制度が本格的に開始された平成24年度の拠出金率は0.15%でした。その後、子育て支援施策の拡充に伴い、平成28年度に0.20%、平成29年度に0.23%と段階的に引き上げられました。平成31年度(令和元年度)には0.34%、令和2年度には0.36%となり、令和6年度には0.40%まで上昇しています。

この拠出金率の引き上げは、少子化対策の強化と子育て支援サービスの充実を目的としています。具体的には、保育所の待機児童解消、放課後児童クラブの拡充、子育て世代包括支援センターの整備などの財源として活用されています。

今後の拠出金率については、政府の少子化対策の方向性によって変動する可能性があります。出生数の減少が続く中、より手厚い子育て支援が求められており、拠出金率のさらなる引き上げも議論されています。令和6年には「こども未来戦略」が策定され、児童手当の拡充や保育サービスの充実などが盛り込まれており、これらの財源確保のために拠出金率が調整される可能性があります。

事業主にとっては、拠出金率の上昇は人件費の増加を意味します。標準報酬月額30万円の従業員が100名いる企業の場合、拠出金率が0.10%上昇すると、年間で「300,000円×100名×12か月×0.001=360,000円」の負担増となります。

経営計画や予算策定においては、この拠出金率の変動リスクを織り込んでおくことが賢明です。特に人件費比率が高い業種や、多数の従業員を雇用する企業では、拠出金率の変動が経営に与える影響を無視できません。

70歳到達時の手続きと実務処理

従業員が70歳に到達した際には、社会保険に関する各種手続きが必要となります。特に厚生年金保険の資格喪失に伴う処理は複雑であり、子ども子育て拠出金の取り扱いにも影響するため、正確な理解が求められます。

70歳到達日は、誕生日の前日となります。例えば、8月15日が誕生日の場合、8月14日が70歳到達日となり、この日をもって厚生年金保険の被保険者資格を喪失します。資格喪失日は70歳到達日の翌日、つまり誕生日当日となります。

厚生年金保険の資格喪失に伴い、事業主は「70歳到達届」を日本年金機構に提出する必要があります。この届出により、厚生年金保険料および子ども子育て拠出金の算定が停止されます。届出の期限は、資格喪失日から5日以内とされていますが、実務上は速やかに手続きを行うことが推奨されます。

給与計算システムでは、70歳到達月から厚生年金保険料と子ども子育て拠出金の控除(事業主負担分の計上)を停止する設定が必要です。ただし、健康保険料については継続するため、システム上の設定を適切に変更することが重要です。

70歳到達月の保険料については、特別なルールがあります。厚生年金保険料は月単位で徴収されるため、70歳到達日が月の途中であっても、その月の保険料は発生しません。これは「資格喪失日の属する月の保険料は徴収しない」という原則によるものです。子ども子育て拠出金も同様の扱いとなります。

高齢任意加入を希望する従業員がいる場合は、別途「高齢任意加入被保険者資格取得申出書」の提出が必要です。この申出が受理されると、再び厚生年金保険の被保険者となり、子ども子育て拠出金の算定対象にもなります。ただし、高齢任意加入には一定の要件があり、すべての70歳以上の従業員が加入できるわけではありません。

実務上は、従業員の誕生日を管理する仕組みを整備し、70歳到達が近づいた従業員については事前に必要な手続きを確認しておくことが重要です。特に、本人に高齢任意加入の意思があるかどうかを早めに確認し、必要な届出を期限内に行えるよう準備することが望まれます。

子ども子育て拠出金70歳以上のまとめ

子ども子育て拠出金と70歳以上の労働者についてのまとめ

今回は子ども子育て拠出金70歳以上の適用関係や計算方法についてお伝えしました。以下に、今回の内容を要約します。

・子ども子育て拠出金は児童手当や子育て支援事業の財源として事業主のみが負担する社会保険料である

・拠出金は厚生年金保険の被保険者を対象として算定されるため70歳以上の一般的な従業員は原則として対象外となる

・70歳以上でも高齢任意加入被保険者として厚生年金保険に加入している場合は子ども子育て拠出金の納付義務が発生する

・健康保険は75歳まで継続するが子ども子育て拠出金は厚生年金保険に連動するため70歳で原則として算定対象から除外される

・拠出金の計算式は標準報酬月額または標準賞与額に拠出金率を乗じた金額となる

・令和6年度の拠出金率は0.40%であり制度創設時の0.15%から段階的に引き上げられてきた

・従業員が70歳に到達した日は誕生日の前日であり資格喪失日は誕生日当日となる

・70歳到達時には事業主が日本年金機構に70歳到達届を提出し厚生年金保険と子ども子育て拠出金の算定を停止する

・70歳到達月の厚生年金保険料と子ども子育て拠出金は資格喪失により発生しない

・標準賞与額には1か月あたり150万円の上限が設定されており複数回の賞与は合算して計算される

・年4回以上支給される給与は賞与ではなく報酬として扱われ標準報酬月額の算定基礎に含まれる

・拠出金率の変動は事業主の人件費負担に直接影響するため経営計画や予算策定時に考慮する必要がある

・給与計算システムでは70歳到達月から厚生年金保険料と子ども子育て拠出金の計上を停止し健康保険料のみ継続する設定が必要である

・高齢任意加入を希望する従業員がいる場合は高齢任意加入被保険者資格取得申出書を別途提出する必要がある

・拠出金の使途は保育所整備や放課後児童クラブ運営支援など多岐にわたる子育て支援事業に充てられている

子ども子育て拠出金と70歳以上の労働者の関係は、厚生年金保険の被保険者資格と密接に関連しており、実務上は正確な理解と適切な手続きが求められます。高齢化が進む中で70歳以降も働く従業員が増加しているため、事業主は制度の仕組みを正しく把握し、適切な社会保険手続きを行うことが重要です。不明な点がある場合は、年金事務所や社会保険労務士に相談することをおすすめします。

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