育児時間と時短勤務の違いは?制度の特徴と活用法を幅広く調査!

仕事と育児の両立を目指す労働者にとって、育児時間と時短勤務は重要な支援制度です。どちらも労働時間を短縮して子育てに時間を充てられる制度ですが、法的な位置づけや利用条件、実際の運用方法には大きな違いがあります。これらの違いを正しく理解せずに制度を選択すると、後から「思っていた働き方と違った」という事態になりかねません。

育児時間は労働基準法に基づく制度で、主に1歳未満の子どもを育てる労働者が対象です。一方、時短勤務は育児・介護休業法に基づく制度で、より長期間にわたって利用できます。それぞれの制度には独自のメリットとデメリットがあり、子どもの年齢や家庭の状況、職場環境によって最適な選択が異なります。

また、育児時間と時短勤務は併用できる場合もあれば、どちらか一方しか選べない場合もあります。給与への影響や社会保険料の取り扱い、キャリア形成への影響なども考慮すべき重要なポイントです。特に、復職後の働き方を計画する際には、これらの制度の違いを十分に理解しておくことが求められます。

本記事では、育児時間と時短勤務の違いについて、法律的な根拠から実務的な運用まで幅広く解説します。制度の基本的な内容、対象者や利用条件、給与や社会保険への影響、そして実際の職場での利用方法まで、詳しくお伝えします。これから育児休業から復職する方、すでに働きながら子育てをしている方にとって、最適な制度選択の参考となる情報を提供します。

育児時間と時短勤務の違いとは?基本的な制度の概要

育児時間と時短勤務は、どちらも子育て中の労働者を支援する制度ですが、法的な根拠や制度の目的、対象となる労働者の範囲が異なります。まずは両制度の基本的な内容を理解することが、適切な選択の第一歩です。

育児時間制度の基本的な内容と法的根拠

育児時間は、労働基準法第67条に規定されている法定の権利です。この制度は、生後1年に達しない子どもを育てる女性労働者が、1日2回、それぞれ少なくとも30分の育児時間を請求できるというものです。使用者は、この請求を拒否することができません。法律で明確に保障された権利であり、就業規則に規定がなくても利用できます。

育児時間の歴史は古く、1947年の労働基準法制定時から存在する制度です。当時は女性の労働環境が現在とは大きく異なり、特に授乳期の母親を保護する必要性が高かったため、この制度が設けられました。現在でも、授乳や子どもの世話のために利用されることが多い制度です。

育児時間の取得方法は、1日2回それぞれ30分という形が基本ですが、まとめて1時間取得することも可能です。例えば、始業時刻を30分遅らせて終業時刻を30分早めることや、昼休みの前後にそれぞれ30分ずつ取得すること、あるいは終業時刻を1時間早めることなど、柔軟な取得が認められています。

重要な点は、育児時間は有給である必要がないということです。労働基準法では、育児時間を有給とするか無給とするかは使用者の判断に委ねられています。多くの企業では無給としていますが、中には有給で対応している企業もあります。就業規則や労働協約を確認して、自社の取り扱いを把握しておくことが大切です。

また、育児時間は「女性労働者」の権利として規定されているため、法律上は男性労働者には適用されません。ただし、企業によっては独自の制度として、男性労働者にも同様の権利を認めている場合があります。男女平等の観点から、男性にも育児時間を認める企業が増えつつあります。

育児時間の対象となる子どもは、生後1年に達しない子どもです。つまり、子どもが1歳の誕生日を迎えるまでが対象期間となります。双子や年子の場合、それぞれの子どもについて育児時間を取得できるかは、企業の運用によって異なります。複数の子どもがいる場合は、人事担当者に確認することをおすすめします。

時短勤務制度の基本的な内容と法的根拠

時短勤務は、育児・介護休業法第23条に基づく制度です。正式には「所定労働時間の短縮措置」と呼ばれ、事業主に対して、3歳未満の子どもを養育する労働者が希望する場合、1日の所定労働時間を原則として6時間とする措置を講じることを義務付けています。これは、育児時間よりも長期間かつ大幅な労働時間の短縮を可能にする制度です。

時短勤務制度は、2009年の育児・介護休業法改正により義務化されました。それ以前から多くの企業で自主的に導入されていましたが、法改正により100人以下の企業も含めてすべての事業所で対応が必要になりました。その後、2017年の法改正により、有期契約労働者も一定の条件を満たせば利用できるようになるなど、対象者が拡大してきました。

時短勤務の標準的な形態は、1日の所定労働時間を6時間に短縮するというものです。例えば、通常の勤務時間が9時から18時までの8時間勤務(休憩1時間を除く)の場合、時短勤務では9時から16時までの6時間勤務となります。ただし、6時間は原則であり、労使協定により別の短縮時間を定めることも可能です。

時短勤務は、育児時間と異なり、男女を問わず利用できます。父親であっても母親であっても、3歳未満の子どもを養育している労働者であれば、要件を満たせば時短勤務を請求できます。近年、男性の育児参加が推進される中で、時短勤務を利用する男性労働者も増加傾向にあります。

時短勤務中の賃金については、法律で有給を義務付けていないため、多くの企業では短縮した時間分の賃金が減額されます。例えば、8時間勤務から6時間勤務に短縮した場合、賃金も4分の3程度になることが一般的です。ただし、短縮した時間に見合った減額であれば、完全に比例した減額でなくても法律上は問題ありません。

企業によっては、法定の3歳までではなく、小学校就学前や小学校3年生まで、あるいはそれ以上の年齢まで時短勤務を利用できる制度を設けている場合があります。これは法律で義務付けられているわけではありませんが、従業員の定着率向上や優秀な人材の確保のために、独自の制度を整備する企業が増えています。

時短勤務を利用するには、原則として開始予定日の1ヶ月前までに、書面で事業主に申し出る必要があります。申出書には、短縮開始予定日や終了予定日、短縮しようとする所定労働時間などを記載します。事業主は、この申出を拒否することは原則としてできませんが、一定の除外事由に該当する労働者については対象外とすることができます。

両制度の対象者と利用条件の違い

育児時間と時短勤務では、対象となる労働者の範囲や利用条件に明確な違いがあります。まず、育児時間は生後1年に達しない子どもを育てる女性労働者が対象です。雇用形態による制限はなく、正社員でもパート・アルバイトでも、派遣労働者でも利用できます。ただし、法律上は女性のみが対象であり、男性は原則として利用できません。

一方、時短勤務の対象者は、3歳未満の子どもを養育する労働者です。性別による制限はなく、男女ともに利用できます。ただし、すべての労働者が対象となるわけではなく、いくつかの除外事由があります。日々雇用される労働者、労使協定で対象外とされた従業員(勤続1年未満、週の所定労働日数が2日以下、業務の性質上困難な従業員など)は、時短勤務の対象外となります。

有期契約労働者については、時短勤務を開始しようとする日において、子どもが1歳6ヶ月に達する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでない場合に限り、時短勤務の対象となります。この条件は、育児休業の取得要件と同様です。契約期間が明確に定められている場合、更新の見込みがあるかどうかが判断のポイントになります。

育児時間には雇用期間の要件がないため、入社直後であっても生後1年未満の子どもがいれば利用できます。これに対して、時短勤務では労使協定により勤続1年未満の従業員を対象外とすることができます。ただし、勤続1年以上でも、週の所定労働日数が2日以下の従業員は法律上対象外となっています。

業務の性質や体制の問題で時短勤務が困難な場合、事業主は労使協定により特定の業務に従事する労働者を対象外とすることができます。例えば、国際線の客室乗務員や交替制勤務が不可欠な業務などが該当します。ただし、安易に対象外とすることは認められず、代替措置を講じる努力が求められます。

育児時間と時短勤務のもう一つの大きな違いは、取得の手続きです。育児時間は、基本的に口頭での請求でも認められますが、実務上は書面での申請が推奨されます。一方、時短勤務は、法律で書面による申出が義務付けられており、開始予定日の1ヶ月前までに申し出る必要があります。この手続きの違いも、実際の利用において重要なポイントです。

さらに、育児時間は法律で定められた最低基準であるため、就業規則に規定がなくても請求できます。これに対して、時短勤務は事業主が制度を整備し、就業規則に規定することが前提となっています。ただし、法律で義務付けられている制度であるため、就業規則に規定がない場合でも、法律に基づいて請求することが可能です。

取得期間と取得回数の違い

育児時間と時短勤務では、利用できる期間に大きな違いがあります。育児時間は、子どもが生後1年に達するまでの期間に限定されています。つまり、子どもが1歳の誕生日を迎えた時点で、育児時間を取得する権利は終了します。この期間限定という特徴は、育児時間が主に授乳期の母親を保護する制度として設計されていることに由来します。

時短勤務の法定期間は、子どもが3歳に達するまでです。育児時間の3倍の期間にわたって利用できるため、より長期的な育児支援として機能します。さらに、多くの企業では法定を上回る期間、例えば小学校就学前まで、小学校3年生まで、あるいは小学校卒業までといった独自の制度を設けています。自社の制度を確認することで、より長期の利用が可能な場合があります。

育児時間の取得回数については、法律上の制限はありません。生後1年未満であれば、毎日取得することができます。1日2回、それぞれ30分という時間の枠組みはありますが、この範囲内であれば毎日継続して取得できます。ただし、実際の運用では、業務の都合や職場の理解度によって、毎日の取得が難しい場合もあります。

時短勤務も、法律上は取得回数の制限はありません。3歳に達するまでの期間、継続して時短勤務を利用することができます。ただし、一度時短勤務を終了してフルタイムに戻った後、再び時短勤務を申し出ることができるかどうかは、企業の制度によります。法律では再取得を義務付けていないため、企業によっては原則として1回限りとしている場合もあります。

育児時間と時短勤務を併用することについては、法律上の明確な規定はありません。理論的には、時短勤務で6時間勤務にした上で、さらに育児時間で30分を2回取得し、実質的に5時間勤務とすることも考えられます。ただし、実際に併用できるかどうかは企業の判断に委ねられており、多くの企業では併用を認めていないか、どちらか一方のみの利用を求めています。

育児休業から復職する際の選択肢として、まず育児時間を利用し、子どもが1歳になった時点で時短勤務に移行するという方法があります。例えば、子どもが10ヶ月の時に復職し、2ヶ月間は育児時間を利用してやや短い勤務時間で働き、1歳になったら時短勤務に切り替えるというパターンです。この方法により、段階的に勤務時間を調整できます。

逆に、最初から時短勤務を選択し、子どもが3歳になるまで継続するという方法もあります。この場合、育児時間は利用せず、最初から大幅な労働時間短縮を行います。どちらの方法が適しているかは、子どもの年齢、保育園の状況、通勤時間、家族のサポート体制などを総合的に考慮して判断する必要があります。

期間の延長については、時短勤務の方が柔軟性があります。法定では3歳までですが、企業が独自に延長している場合、その期間まで継続して利用できます。一方、育児時間は法律で1歳までと明確に定められているため、それを超えて延長することはできません。長期的な働き方を計画する場合、時短勤務の方が予測可能性が高いと言えます。

育児時間と時短勤務の違いを具体的に比較

育児時間と時短勤務の基本的な違いを理解したところで、次に実務的な観点から両制度を比較します。勤務時間の調整方法、給与や社会保険への影響、職場での利用のしやすさなど、実際に制度を利用する際に重要となるポイントを詳しく見ていきましょう。

勤務時間の短縮方法と柔軟性の違い

育児時間と時短勤務では、勤務時間を短縮する方法と柔軟性に大きな違いがあります。育児時間は、1日2回それぞれ30分、合計で1時間の時間を取得できる制度です。この1時間をどのように配分するかは、労働者の希望と事業主の了解によって決まります。最も一般的なパターンは、始業時刻を30分遅らせ、終業時刻を30分早めるという方法です。

例えば、通常の勤務時間が9時から18時(休憩1時間を含む実働8時間)の場合、育児時間を利用すると9時30分から17時30分までの勤務となります。あるいは、終業時刻のみを1時間早めて17時に退社するという方法もあります。この場合、9時から17時までの勤務となり、保育園のお迎えなどがしやすくなります。

育児時間のもう一つの特徴は、必ずしも毎日取得する必要がないことです。例えば、週に数日だけ育児時間を利用し、他の日は通常通り勤務するという柔軟な使い方も可能です。また、授乳のために昼休み前後に取得するという方法もあります。ただし、このような柔軟な取得が認められるかどうかは、企業の運用方針によって異なります。

時短勤務は、1日の所定労働時間を原則6時間に短縮する制度です。8時間勤務から6時間勤務への変更は、育児時間の1時間短縮と比べて大幅な労働時間の削減となります。例えば、9時から18時の勤務が、9時から16時になります。この2時間の差は、子育てと仕事の両立において大きな意味を持ちます。

時短勤務の勤務時間の設定には、育児時間よりも柔軟性があります。始業時刻を遅らせる、終業時刻を早める、あるいはその両方を組み合わせるなど、企業と相談しながら決定できます。例えば、10時から17時の勤務や、9時から16時の勤務など、家庭の事情や通勤時間に合わせて調整できる場合があります。

ただし、時短勤務は一度設定すると、基本的に毎日同じ勤務時間となります。育児時間のように、ある日は取得してある日は取得しないという使い方はできません。継続的で安定した短縮勤務が前提となっているため、予測可能性は高いものの、日々の状況に応じた柔軟な調整は難しくなります。

労働時間の短縮幅という観点では、時短勤務の方が大きな効果があります。育児時間の1時間に対して、時短勤務は2時間の短縮が標準です。保育園の送迎、家事、子どもとの時間などを考えると、この1時間の差は非常に大きいものです。一方で、給与への影響も大きくなるため、家計とのバランスを考慮する必要があります。

残業との関係も重要なポイントです。育児時間を取得している場合でも、所定労働時間を満たした後は残業を命じられる可能性があります。ただし、3歳未満の子どもを養育する労働者は、育児・介護休業法により、請求すれば時間外労働を制限できます。1ヶ月24時間、1年150時間を超える時間外労働を拒否できる制度があります。

時短勤務を利用している場合、短縮後の勤務時間が所定労働時間となります。したがって、6時間勤務の場合、6時間を超えれば残業扱いとなり、残業代が支払われます。ただし、実務上は時短勤務中の労働者に残業を命じることは少なく、定時で帰宅できるよう配慮されることが一般的です。

給与や社会保険への影響の違い

育児時間と時短勤務では、給与への影響が大きく異なります。育児時間は、法律上有給とする義務がないため、多くの企業では無給としています。つまり、1日1時間の育児時間を取得すると、その1時間分の賃金が減額されます。8時間勤務で日給が16,000円の場合、1時間の育児時間により2,000円が減額され、日給は14,000円となります。

ただし、企業によっては育児時間を有給としている場合もあります。特に、労働組合が強い企業や福利厚生が充実している企業では、有給の育児時間を認めているケースがあります。自社の就業規則や労働協約を確認し、有給か無給かを把握しておくことが重要です。有給であれば、給与への影響を心配せずに育児時間を活用できます。

時短勤務の場合、短縮した時間分の賃金が減額されることが一般的です。8時間勤務から6時間勤務に短縮した場合、賃金は約75%になります。月給が30万円の場合、時短勤務により約22.5万円になる計算です。この減額は法律で認められているため、不当な賃金カットには該当しません。ただし、短縮時間に見合わない過度な減額は問題となる可能性があります。

賞与(ボーナス)への影響も考慮すべき点です。育児時間の取得が賞与の査定に影響するかどうかは、企業の評価制度によります。多くの企業では、1時間程度の短縮であれば賞与への影響は限定的です。一方、時短勤務の場合、勤務時間が大幅に短縮されるため、賞与の算定基礎に影響する可能性があります。勤務時間に比例した減額や、評価の際に考慮されることがあります。

社会保険料への影響については、両制度で違いがあります。育児時間で1時間短縮した程度であれば、給与の変動が小さいため、社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)の等級が変わらないことが多いです。したがって、実際の給与は減少しても、社会保険料は従来通りとなり、手取りの減少幅が給与の減少幅よりも大きくなることがあります。

時短勤務では、給与が大幅に減少するため、社会保険料の等級が下がることが一般的です。標準報酬月額が下がると、社会保険料の負担は軽減されますが、将来受け取る年金額にも影響します。ただし、3歳未満の子どもを養育する期間の時短勤務については、年金額の計算において特例措置があり、標準報酬月額が下がる前の額で計算されます。

この特例措置は「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」と呼ばれ、将来の年金額が不利にならないよう配慮されています。時短勤務を開始する際に、事業主を通じて年金事務所に届出を行うことで適用されます。この措置により、時短勤務中でも将来の年金額を確保できるため、安心して制度を利用できます。

雇用保険料への影響は、実際の賃金に応じて変動します。育児時間で給与が減少すれば、それに応じて雇用保険料も減少します。時短勤務でも同様で、賃金の減少に比例して雇用保険料が減少します。雇用保険料率は賃金の一定割合であるため、給与が減れば自動的に保険料も減る仕組みです。

住民税への影響も考慮すべき点です。住民税は前年の所得に基づいて計算されるため、育児時間や時短勤務を開始した年は、まだ前年のフルタイム勤務の所得で住民税が計算されます。翌年から減少した所得に基づく住民税となるため、時差が生じます。この点を理解しておかないと、手取り額の計算で誤解が生じることがあります。

所得税については、その年の所得に応じて源泉徴収されるため、育児時間や時短勤務で給与が減少すれば、所得税も減少します。年末調整により精算されるため、最終的な税額は正確に計算されます。配偶者控除や配偶者特別控除の適用を受けられる所得水準まで下がる場合は、配偶者の税負担が軽減される可能性もあります。

職場での利用しやすさと実務上の違い

育児時間と時短勤務では、職場での利用しやすさや実務上の運用に違いがあります。育児時間は、1時間の短縮という比較的小さな調整であるため、職場への影響が限定的で、利用のハードルが低いと感じる労働者が多いです。特に、始業時刻を30分遅らせ、終業時刻を30分早めるという分散型の取得であれば、業務への支障が少ないため、上司や同僚の理解も得やすいです。

一方、時短勤務は2時間の大幅な短縮となるため、業務の調整が必要になります。特に、プロジェクトのリーダーや専門職など、責任の重い業務を担当している場合、時短勤務への移行は職場全体の業務分担の見直しを伴うことがあります。そのため、事前の十分な相談と計画が必要です。

育児時間の利用において、実務上の課題となるのは、毎日の取得が業務に与える影響です。例えば、会議の時間設定が難しくなったり、取引先との連絡可能時間が制限されたりすることがあります。特に、午前中の始業時刻を遅らせる場合、朝一番の会議や打ち合わせに参加できないことがあります。このような調整が必要になるため、チーム内での情報共有が重要です。

時短勤務の場合、勤務時間が固定されているため、予測可能性が高く、計画的な業務運営がしやすいという利点があります。毎日16時までの勤務と決まっていれば、その時間内で完結する業務を割り当てたり、引き継ぎ体制を整えたりすることができます。一方で、緊急時の対応が難しくなるため、バックアップ体制の構築が必要です。

テレワークやフレックスタイム制度との組み合わせも重要な検討事項です。育児時間は、出社前提の制度として運用されることが多いですが、テレワーク中でも育児時間に相当する時間を確保することは可能です。時短勤務も同様で、テレワークと組み合わせることで、通勤時間の削減と合わせて、より多くの時間を育児に充てられます。

キャリア形成への影響も考慮すべき点です。育児時間は期間が1年未満と短く、勤務時間の短縮幅も小さいため、キャリアへの影響は比較的限定的です。昇進や昇給の評価において、育児時間の取得が不利に働くことは、法律上禁止されています。ただし、実際の職場環境によっては、微妙な影響がある可能性は否定できません。

時短勤務の場合、3年間という長期にわたる勤務時間の短縮となるため、キャリアへの影響を懸念する労働者も少なくありません。特に、管理職を目指している場合や、専門性を高めたい場合、時短勤務中の経験やスキルアップの機会が限られることがあります。一方で、効率的な働き方を身につけるきっかけになるという前向きな側面もあります。

職場の理解と協力を得るためには、育児時間でも時短勤務でも、コミュニケーションが鍵となります。制度を利用する前に、上司や同僚と十分に話し合い、業務の引き継ぎや分担について合意形成を図ることが重要です。また、利用開始後も、定期的に業務の進捗状況を報告し、必要に応じて働き方を調整していく柔軟性が求められます。

制度の利用を申し出ることへの心理的ハードルも、実務上の重要な要素です。育児時間は法律で保障された権利であり、申請を拒否されることはありませんが、実際には職場の雰囲気や上司の理解度によって、利用しやすさが大きく異なります。時短勤務も同様で、法律上の権利であっても、「周囲に迷惑をかけるのではないか」という遠慮から、利用を躊躇する労働者もいます。

企業側の対応も、制度の利用しやすさに大きく影響します。育児時間や時短勤務を利用している労働者を支援する文化がある企業では、制度が円滑に機能します。逆に、制度はあっても実際には利用しにくい雰囲気がある職場では、形骸化してしまいます。厚生労働省の「くるみん認定」を受けている企業など、子育て支援に積極的な企業を選ぶことも、一つの方策です。

最後に、制度の併用や切り替えについても触れておきます。企業によっては、育児時間と時短勤務の併用を認めていない場合があります。また、一度時短勤務を選択すると、途中で育児時間に切り替えることが難しい場合もあります。逆に、育児時間から時短勤務への切り替えは比較的スムーズに行えることが多いです。自社の制度をよく確認し、最適なタイミングで最適な制度を選択することが大切です。

育児時間と時短勤務の違いについてのまとめ

育児時間と時短勤務の違いに関するまとめ

今回は育児時間と時短勤務の違いについてお伝えしました。以下に、今回の内容を要約します。

・育児時間は労働基準法第67条に基づく制度で、生後1年未満の子どもを育てる女性労働者が1日2回それぞれ30分の時間を請求できる

・時短勤務は育児・介護休業法第23条に基づく制度で、3歳未満の子どもを養育する労働者が1日の所定労働時間を原則6時間に短縮できる

・育児時間は女性労働者のみが対象だが、時短勤務は男女ともに利用可能である

・育児時間の対象期間は子どもが1歳になるまで、時短勤務は3歳になるまでで、企業によってはさらに延長している場合がある

・育児時間は1日合計1時間の短縮、時短勤務は1日2時間の短縮が標準で、労働時間の短縮幅に大きな違いがある

・育児時間は法律上有給である必要がないため多くの企業では無給だが、時短勤務は短縮した時間分の賃金が減額される

・育児時間は柔軟な取得が可能で日によって利用したりしなかったりできるが、時短勤務は毎日同じ勤務時間となる

・時短勤務では3歳未満の子どもを養育する期間について養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置があり、将来の年金額が保護される

・育児時間は職場への影響が比較的小さく利用のハードルが低いが、時短勤務は業務の大幅な調整が必要になる

・育児時間は1年未満の短期間であるためキャリアへの影響は限定的だが、時短勤務は3年間の長期にわたるため影響を考慮する必要がある

・時短勤務を利用するには原則として開始予定日の1ヶ月前までに書面で申し出る必要があるが、育児時間は手続きが比較的簡易である

・両制度とも法律で保障された権利であり、要件を満たせば事業主は原則として拒否できない

・企業によっては育児時間と時短勤務の併用を認めていない場合があり、どちらか一方を選択する必要がある

・テレワークやフレックスタイム制度と組み合わせることで、より柔軟な働き方が実現できる

・制度選択では子どもの年齢、保育園の状況、家計への影響、キャリアプランなどを総合的に考慮することが重要である

育児時間と時短勤務は、どちらも子育てと仕事の両立を支援する重要な制度ですが、対象期間、短縮時間、給与への影響など、多くの点で違いがあります。それぞれの特徴を理解した上で、自分の状況に最も適した制度を選択することが、無理なく働き続けるための鍵となります。職場とのコミュニケーションを大切にしながら、これらの制度を上手に活用して、充実した子育てと仕事の両立を実現してください。

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