2025年4月から新しく始まった育児時短就業給付金は、育児と仕事の両立を目指す労働者にとって大きな支援となる制度です。2歳未満の子どもを育てながら時短勤務をしている方が、減少した賃金の一部を補填してもらえるこの制度について、多くの方が関心を持っています。
しかし、新しい制度であるため、申請方法や必要な書類、手続きの流れについて不安を感じている方も少なくないでしょう。会社の人事担当者も、従業員から問い合わせを受けて対応に追われているケースも見られます。
本記事では、育児時短就業給付金の申請方法について、誰が申請するのか、どこに申請するのか、どのような書類が必要なのか、申請期限はいつまでなのかなど、実務上知っておくべき情報を幅広く調査しました。初めて申請する方も、既に時短勤務を始めている方も、この記事を参考にスムーズな申請手続きを進めていただければ幸いです。
育児時短就業給付金の申請方法と基本的な手続き
申請の流れと全体像
育児時短就業給付金の申請手続きは、大きく分けて3つのステップから成り立っています。まず第一に、育児時短就業開始時賃金の届出を行います。これは、時短勤務を開始する前の賃金水準を確認するための手続きです。
第二に、受給資格の確認を行います。この手続きでは、申請者が育児時短就業給付金の支給要件を満たしているかどうかをハローワークが確認します。具体的には、2歳未満の子を養育していること、時短勤務をしていること、被保険者期間が12か月以上あることなどが確認されます。
第三に、実際の支給申請を行います。これは原則として2か月ごとに行う必要があり、支給対象月における賃金額や労働時間などを報告します。この一連の手続きを通じて、給付金が支給される仕組みとなっています。
なお、事業主が申請を行う場合は、育児時短就業開始時賃金の届出、受給資格確認、初回の支給申請を同時に行うこともできます。これにより、手続きの回数を減らし、効率的に申請を進めることが可能です。
ただし、育児休業給付の対象となる育児休業から引き続き、同一の子について育児時短就業を開始した場合は、育児時短就業開始時賃金の届出は不要となります。これは、既に育児休業給付金の申請時に賃金月額証明書を提出しており、基準となる賃金額が確定しているためです。
この場合、育児休業終了日と育児時短就業開始日の間が14日以内であれば、引き続きとみなされます。たとえば、育児休業が3月31日に終了し、4月1日から時短勤務を開始した場合などが該当します。
申請後は、ハローワークで審査が行われます。審査には数週間かかることがあるため、早めに準備を進めることが望ましいです。受給資格が確認されれば、指定した口座に給付金が振り込まれます。
申請は誰が行うのか
育児時短就業給付金の申請は、原則として事業主が行います。つまり、時短勤務をしている労働者本人ではなく、その労働者を雇用している会社が手続きを行うことになっています。
これは、育児休業給付金や高年齢雇用継続給付金などと同様の仕組みです。事業主が申請を行う理由は、賃金支払いの実態や労働時間の短縮状況を正確に把握できるのは雇用主であるためです。賃金台帳や出勤簿、タイムカードなどの資料も、事業主が保管しているものを使用します。
ただし、やむを得ない事情がある場合には、労働者本人が直接支給申請を行うことも可能です。たとえば、会社が申請手続きに協力してくれない場合や、会社が倒産した場合などが考えられます。
しかし、労働者本人が申請する場合であっても、育児時短就業開始時賃金の届出については、事業主が行う必要があります。これは、時短勤務開始前の賃金水準を証明できるのは事業主だけであるためです。
実務上は、労働者から会社の人事労務担当者に対して、育児時短就業給付金の申請を希望する旨を伝えることから手続きが始まります。担当者は、必要な書類を準備し、ハローワークに提出する手続きを進めます。
労働者側で準備が必要な書類としては、母子健康手帳のコピーや住民票などがあります。これらは、育児の事実や出産日を確認するために必要となるため、会社から求められた場合は速やかに提出することが重要です。
会社の人事担当者にとっては、新しい制度であるため、手続きに不慣れなケースも多いでしょう。厚生労働省やハローワークが提供するリーフレットやマニュアルを確認しながら、正確に手続きを進める必要があります。
申請先と申請方法
育児時短就業給付金の申請先は、事業所の所在地を管轄するハローワークです。労働者の住所地ではなく、会社の所在地を管轄するハローワークに提出する点に注意が必要です。
申請方法には、窓口での申請、郵送申請、電子申請の3つの選択肢があります。窓口での申請は、ハローワークの雇用保険の窓口に直接書類を持参する方法です。担当者に直接質問できるため、不明な点がある場合や初めて申請する場合には安心です。
郵送申請は、必要書類を揃えて管轄のハローワークに郵送する方法です。窓口に行く時間が取れない場合や、遠方にハローワークがある場合に便利です。ただし、書類に不備があった場合には、再提出が必要となり時間がかかる可能性があります。
電子申請は、インターネットを通じて申請する方法です。e-Govという政府の電子申請システムを利用します。24時間いつでも申請でき、郵送料もかからないため、最も効率的な方法といえます。ただし、電子申請を利用するには、事前にアカウントの登録や電子証明書の取得が必要となる場合があります。
どの申請方法を選択するかは、会社の状況や担当者の習熟度によって決めることができます。多くの給付金申請を行っている大企業では電子申請を活用していることが多い一方、中小企業では窓口申請や郵送申請を選択するケースも多く見られます。
申請書類を提出する際には、必ず控えを取っておくことをお勧めします。窓口申請の場合は、受付印を押してもらった控えを受け取ります。郵送申請の場合は、書類のコピーを保管しておきます。電子申請の場合は、申請完了画面を印刷またはスクリーンショットで保存しておくと良いでしょう。
申請後、ハローワークから不備の連絡があった場合は、速やかに対応することが重要です。書類の追加提出や訂正が求められた場合には、指示に従って対応します。
申請期限と申請頻度
育児時短就業給付金の申請期限は、初回申請と2回目以降で設定が異なります。初回申請の場合、最初の支給対象月の初日から起算して4か月以内に申請する必要があります。
たとえば、4月1日から時短勤務を開始した場合、4月が最初の支給対象月となります。この場合の申請期限は、4月1日から起算して4か月以内、つまり7月31日までとなります。
2回目以降の申請については、各支給対象月の初日から起算して4か月以内が申請期限となります。ただし、ハローワークから指定された期間内に申請することが求められるため、実際にはより短い期間内に申請する必要があることが一般的です。
申請の頻度については、原則として2か月ごとに行うことになっています。これは、2つの支給対象月についてまとめて申請する形式です。たとえば、4月と5月分をまとめて申請し、次に6月と7月分をまとめて申請するという流れになります。
ただし、労働者が希望する場合は、1か月ごとに支給申請を行うことも可能です。給付金をより早く受け取りたい場合や、会社の給与計算のタイミングに合わせて申請したい場合などに、1か月ごとの申請を選択することができます。
2回目以降の申請では、ハローワークから「次回申請期限」が通知されます。この通知に記載された期限までに、次回の申請書類を提出する必要があります。期限を過ぎてしまった場合でも、ハローワークで相談すれば受け付けてもらえる場合が多いですが、できるだけ期限内に申請することが望ましいです。
申請期限を守ることは、給付金を確実に受け取るために非常に重要です。特に初回申請については、4か月という期限を過ぎてしまうと、その月の分の給付金が受けられなくなる可能性があります。
会社の人事担当者は、時短勤務を開始した従業員について、申請期限をカレンダーに記入するなどして、忘れずに申請できるよう管理することが推奨されます。また、従業員側も、時短勤務開始後は速やかに必要書類を会社に提出することが重要です。
育児時短就業給付金の申請方法に必要な書類
初回申請時に必要な書類
育児時短就業給付金の初回申請時には、複数の書類を準備する必要があります。まず、申請様式として必要なのが、「育児時短就業給付受給資格確認票」と「育児時短就業給付金支給申請書(初回分)」です。これらは、ハローワークから入手するか、厚生労働省のウェブサイトからダウンロードすることができます。
次に、賃金証明書として「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書・所定労働時間短縮開始時賃金証明書」が必要です。ただし、育児休業から引き続き同一の子について育児時短就業を開始した場合は、この証明書の提出は不要となります。
賃金証明書には、時短勤務開始前の賃金支払基礎日数、賃金支払状況、育児時短就業を開始した日などを記載します。これらの情報を証明するための添付書類として、賃金台帳、出勤簿、タイムカード、労働条件通知書などが求められます。
育児の事実や出産日を確認できる書類も必要です。具体的には、母子健康手帳の出生届出済証明のページと分娩予定日の記載ページのコピーを提出します。ただし、育児休業から引き続き育児時短就業を開始した場合には、既に育児休業給付金の申請時に提出しているため、母子健康手帳の提出は不要です。
育児時短就業を開始した日を確認できる書類として、育児短時間勤務申出書や育児短時間勤務取扱通知書などが必要となります。これらは、従業員が会社に対して時短勤務を申し出た際の書類と、会社が従業員に対して時短勤務を承認した際の通知書です。
本来の週所定労働時間を確認できる書類も求められます。就業規則や労働条件通知書で、時短勤務前の週所定労働時間が確認できる場合は、それらを提出します。労働条件通知書で短縮前の週所定労働時間が確認できない場合は、就業規則の提出が必要です。
週所定労働時間が20時間未満となる場合には、追加の書類が必要です。具体的には、子が小学校就学の始期に達するまでに週所定労働時間が20時間以上となる労働条件に復帰することが前提であることを確認できる書類として、就業規則や労働条件通知書などが求められます。
これらの書類を揃えるには、ある程度の時間がかかります。特に賃金台帳や出勤簿は、時短勤務開始前6か月分が必要となる場合があるため、早めに準備を始めることが重要です。
2回目以降の申請に必要な書類
2回目以降の申請では、初回申請時よりも必要書類が簡素化されています。これは、既に受給資格が確認されており、基本的な情報が登録されているためです。
2回目以降の申請で必要な様式は、「育児時短就業給付金支給申請書」のみです。この申請書には、支給対象月における賃金額や労働時間などを記載します。初回申請時のような受給資格確認票は不要となります。
添付書類としては、支給対象月における賃金の額及び賃金の支払状況を確認できる書類が必要です。具体的には、賃金台帳、出勤簿、タイムカードなどを提出します。これらは、申請する支給対象月の分だけで構いません。
支給対象月における短縮後の週所定労働時間を確認できる書類も必要ですが、労働条件に変更がない場合は省略可能です。つまり、前回の申請時から時短勤務の内容が変わっていなければ、この書類は提出しなくても良いということになります。
ただし、事業所の所定労働時間が引き下げられるなどして、時短勤務中の週所定労働時間が変更された場合には、変更後の情報を申請書に記入し、その事実を証明する書類として就業規則などの添付が必要となります。
2回目以降の申請は、初回と比べて書類の準備が容易であるため、申請業務の負担は軽減されます。しかし、賃金台帳や出勤簿は毎月正確に作成しておく必要があるため、日常的な労務管理が重要となります。
ハローワークから次回申請用の申請書が送付されてくる場合もあります。その場合は、送付された申請書を使用し、必要事項を記入して提出します。申請書には、前回申請時の情報が一部印字されていることもあるため、確認しながら記入を進めます。
2回目以降も、申請書には会社の証明欄があります。事業主が記入・押印する必要がありますので、従業員本人だけでは申請を完了できない点に注意が必要です。
添付書類の準備方法
育児時短就業給付金の申請に必要な添付書類を効率的に準備するためのポイントについて解説します。まず、賃金台帳や出勤簿、タイムカードなどは、普段から適切に作成・保管しておくことが前提となります。
賃金台帳については、労働基準法により3年間の保存義務があります。毎月の給与計算時に正確に作成し、ファイリングして保管しておくことが重要です。時短勤務開始前6か月分が必要となる場合があるため、遡って確認できるようにしておく必要があります。
出勤簿やタイムカードについても、賃金台帳と同様に適切な保管が必要です。最近では、勤怠管理システムを導入している企業も多く、その場合はシステムから必要な期間のデータを出力することで対応できます。
労働条件通知書や雇用契約書は、従業員を採用した時点で作成されているはずですが、時短勤務を開始する際に労働条件が変更される場合には、新たに労働条件通知書を作成する必要があります。特に、週所定労働時間や賃金額が変更される場合は、書面での通知が労働基準法で義務付けられています。
就業規則については、常時10人以上の労働者を使用する事業場では作成・届出の義務があります。育児短時間勤務制度についても、就業規則に規定しておく必要があります。申請時には、該当部分のコピーを提出します。
母子健康手帳のコピーについては、従業員本人から提出してもらう必要があります。出生届出済証明のページと分娩予定日の記載ページの2ページ分をコピーして提出します。個人情報を含む書類であるため、取り扱いには十分な注意が必要です。
住民票については、配偶者との関係を確認する必要がある場合に求められます。世帯全員について記載されたもので、続柄が記載されているものを取得します。市区町村役場で発行してもらうことができますが、マイナンバーカードがあればコンビニエンスストアでも取得可能です。
育児短時間勤務申出書や育児短時間勤務取扱通知書については、会社で独自の様式を作成している場合はそれを使用します。特に定めがない場合は、従業員からの申し出を書面で受け取り、会社からの承認も書面で通知することで対応できます。
これらの書類を準備する際には、コピーを取る前に原本の内容を確認し、必要な情報がすべて記載されているかをチェックすることが重要です。また、コピーは鮮明に写っているか、文字が読めるかを確認してから提出します。
書類の整理方法としては、申請ごとにクリアファイルやフォルダにまとめて保管しておくと便利です。初回申請、2回目申請というように分けて保管することで、後から確認が必要になった際にもスムーズに対応できます。
まとめ
育児時短就業給付金の申請方法についてのまとめ
今回は育児時短就業給付金の申請方法について幅広く調査した内容をお伝えしました。以下に、今回の内容を要約します。
・育児時短就業給付金の申請は育児時短就業開始時賃金の届出、受給資格確認、支給申請の3つのステップで構成される
・申請は原則として事業主が行い、やむを得ない場合のみ労働者本人が直接申請できる
・申請先は事業所の所在地を管轄するハローワークであり、窓口申請、郵送申請、電子申請の3つの方法がある
・初回申請の期限は最初の支給対象月の初日から起算して4か月以内である
・2回目以降の申請は各支給対象月の初日から起算して4か月以内が期限となる
・申請は原則として2か月ごとに行うが、労働者が希望すれば1か月ごとに申請することも可能である
・初回申請時には育児時短就業給付受給資格確認票、育児時短就業給付金支給申請書、賃金証明書などが必要である
・育児休業から引き続き時短勤務を開始した場合は賃金証明書や母子健康手帳の提出が不要となる
・2回目以降の申請では育児時短就業給付金支給申請書と賃金台帳などの添付書類のみで済み、初回より簡素化される
・添付書類として賃金台帳、出勤簿、タイムカード、労働条件通知書、就業規則、母子健康手帳などが必要である
・週所定労働時間が20時間未満となる場合は、将来的に20時間以上に復帰することを証明する書類が追加で必要である
・労働条件に変更がない場合は、2回目以降の申請で週所定労働時間を確認する書類は省略できる
・申請書類を提出する際には必ず控えを取っておき、申請完了の記録を保管することが重要である
・賃金台帳や出勤簿は日常的に適切に作成・保管しておくことで、申請時の準備がスムーズになる
・会社の人事担当者は申請期限をカレンダーに記入するなどして管理し、期限内に確実に申請することが求められる
育児時短就業給付金の申請方法は、初回申請時には多くの書類が必要ですが、2回目以降は簡素化されています。事業主が申請を行うため、労働者本人は会社の指示に従って必要な書類を準備することが主な役割となります。申請期限を守り、正確な書類を提出することで、スムーズに給付金を受け取ることができるでしょう。

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